情報システム部
システム開発第一課
鈴木 英明 氏
旅費・交通費精算などで使用する総務システムの改善要望とIBM i GUI化の流れがあり、Delphi/400を導入しましたが、既存RPG活用、社内スキルでの保守という狙いを達成しつつ、業務の改善ができました。 特に「駅すぱあと」との連携は高い評価を得ました。 また、「台帳捺印システム」では、今までシステム化されていなかった手作業の業務でも、GUI化による効率化が可能なことが証明できました。 今後もDelphi/400を活用した業務改善を行っていきます。
会社名 | 阪和興業株式会社 |
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本社所在地 | 東京本社 東京都中央区銀座6-18-2 大阪本社 大阪市中央区伏見町4-3-9 |
事業内容 | 鉄鋼、鉄鋼原料、建材、非鉄金属、石油、化成品、食品、木材、セメント、機械の国内販売および輸出入 |
URL | http://www.hanwa.co.jp/ |
独立系の老舗商社として主力の鉄鋼や非鉄、水産物など各分野でシェアを伸ばしている。 「流通のプロ」を基本理念として掲げ、グローバルに活動を展開する。 東証一部、大証一部上場企業。
本社ビル 鋼板事業(薄板製品) |
旅費精算等で使用する総務システムはIBM i の5250画面で構築されていたが、対象ユーザーが全社員に及ぶため、5250画面に馴染みの薄い営業担当者やマネージャクラスの社員にも使い易いシステムが求められていた。 2004年より総務部主導で全社の要望をとりまとめた結果、出張旅費申請での「駅すぱあと」連携、チケット予約の効率化、出張中経費の事後精算効率化などのニーズが挙がった。
また、業務効率改善効果の高い新規システム案件として「台帳捺印システム」に取り組んだ。
従来の総務システムでは、出張申請に必要な各種情報と連携がなく、経路・交通費の確認やチケット予約などは、別画面に切り替えて操作する必要があった。 また、海外出張中の経費などは発生の都度システムに入力できないため、出張後の精算に大きな労力がかかっていた。 システム要件としては、現行RPGプログラムのビジネスロジックはそのまま活用し画面だけを変更すること、社内の開発スキルで将来の保守が可能なことを重視し、システム改善に取り組むこととなった。
支払台帳業務に関しては、総務部では支払伝票をもとに手書きの台帳を作成していた。 台帳は、担当者が記帳後、決められた承認経路に基き責任者に回付/捺印し、最終保管する。 この業務はシステム化されていない完全に手作業のプロセスであったため、台帳を手書きする手間、台帳を回付して捺印する労力、台帳を保管する保管場所の削減および効率化が望まれた。
前述の既存RPGプログラムが活用できること、将来自社で保守が可能なこと、という要件に基き、総務システムの実装手段を選定した。 パッケージでなく自社仕様による開発が前提なので、IBM i の開発ツールをいくつか検討した。その中で、Delphi/400(ミガロ.)を調査したところ、上記の条件を満たすことがわかったため、導入を決定した。 もっとも要望の強かった「駅すぱあと」連携は、国内出張メニューに「駅すぱあと」画面を組み込むことで実現した。総務システムには、もともと社員の定期券情報を保有している。 社員が「駅すぱあと」連携画面で出張経路を申請すると、定期券相当区間は旅費精算対象外となるように業務規定に則したロジックを組み入れた。これにより、精算金額の計算は格段に効率化できた。 また、出張者は、国内・海外出張時の交通手段を確認するために、航空会社などのWebサイトを参照しているが、従来は5250画面の操作とは連携できていなかった。 新システムでは、各業務画面から必要なWebサイトのリンクを用意し、タイムリーにWebサイトを参照できるようになった。 出張中経費の事後精算については、出張中経費を記入する定型Excelフォーマットを用意し、出張精算画面でこのExcelの取り込みを可能にした。 これにより、出張中に適時経費を記録できるようになり、出張精算時の手入力も削減できた。 他のGUI化メリットとして、贈答品を画像表示し、合わせて在庫数も確認できるようにした。 また、大きなフォントサイズにより視覚的にも見易くなった。本システムは「e総務システム」として2007年に本番リリースした。
「台帳捺印システム」は、台帳作成~捺印~保管の業務プロセスを手作業からシステムに置き換えるもので、Delphi/400により新規開発した。 新しい業務フローは以下のとおりである。IBM i で保管している支払い伝票情報を画面上に台帳情報として表示し、担当者が「捺印」(操作上はチェックボックスにチェック)を行う。次の捺印は、指定された承認者だけが操作可能となるようワークフローが組み込まれている。全ての承認者の捺印が完成したデータは、IBM i のマスターデータとして、保管される。 これにより、台帳手書きと回付・捺印の労力を削減し、さらに台帳が電子化されたため保管スペースも不要になった。
経費精算を扱う「e総務システム」は全社員がエンドユーザーであるが、とりわけ営業担当者など5250画面操作の頻度が少ない社員にとってメリットは大きかった。 新システムは、慣れ親しんだWindowsベースの画面操作性となり、コードの一覧もリストボックスなどで簡単に選択可能なので、コードを記憶していなくても入力が可能である。 「駅すぱあと」と社員の定期券情報がシステム連携されたことにより社員による誤登録もなくなり、経費をチェックする立場の総務部門においても業務が効率化できた。 導入後、安定して稼動しておりエンドユーザーの評価も高い。開発面では、システムの保守は狙いどおり社内スキルで対応可能となった。簡単な画面項目追加などは社内のDelphi/400開発者が対応している。
台帳捺印システムはシンプルなシステムではあるが、総務部門の作業とオフィススペースの効率化において、絶大な業務改善効果があった。 総務部の担当者からも高い評価を得た。各部門で類似の手書き台帳を使用しているので、今後、他部門への適用も視野に入れて検討している。
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