近年、DXの話題が新聞などで頻繁に取り上げられていますが、DXへの取り組みは今後の企業競争力の鍵を握る重要な要素と言えるでしょう。多くのIBM iユーザー企業様でもDXを推進中との声をよく伺います。
本コラムでは、IBM i(AS/400)は決して「レガシー」などではなくDX推進の中心になり得ることをご説明し、DXの決め手となるIBM iのモダナイゼーションを提案いたします。
■ DXとは?
DXのDはデジタル、Xはトランスフォーメーション(変革)を指します。DXの代表的な定義は以下のとおりですが、デジタル技術を使ってビジネスに「変革」をもたらすこと、と考えてよいと思います。
■ 業務変革をもたらすDX施策の検討
DXのポイントはデジタル技術によるビジネスの「変革」であると述べましたが、具体的に何をすれば良いのでしょうか。各企業の情報システムは異なるため、A社にとっては少しの改善でもB社にとっては根本的な変化となる場合もあります。そのため、これを満たせばDXと言えるようなシステムの見本はなく、システムの現状と完成後の「変化の幅」も含めて考える必要があります。
DX施策の検討や発想に役立つ「切り口」をいくつかご紹介します。ここでは、現在のシステムを改修する「機能改善」と、新しい利用者に範囲を広げる「範囲拡張」の2つの軸を考えます。
◎ 機能改善
「量は質に転化する」という言葉もあるように、1週間かかっていた事務が1日でできる等、変化量が大きければ現行システムの改善でも十分に「変革」と言えます。変革をもたらす機能改善のポイントを3つ挙げます。
(a) 「業務効率」の改善
上述のとおり、業務の処理速度が劇的に改善できれば、余裕が生じた時間で別の業務を行うなどのビジネス変革が可能になります。
(b)「情報量」の増加
複雑な情報を効率よくシステムに登録したり、業務で未活用だったデータを可視化したり、といった入出力における情報量を増やすことも圧倒的な業務改善につながることがあります。
(c) データの「即時性」
データの種類によって、翌日にわかれば良いもの、月単位で良いものなど様々ですが、最新情報をリアルタイムで把握することで顧客サービスの向上などに大いに役立つことがあります。
◎ 範囲拡張
基幹システムには様々な利用者がいます。この利用者の範囲を広げることは、業務変革をもたらす最もわかりやすい方法です。
(d) 「社内部門」への展開
IBM i基幹システムのデータを経営・営業情報として直接参照したり、工場、物流倉庫、店舗など本社以外の拠点に展開することで、新たな活用が可能となります。
(e) 「得意先」サービス改善
基幹システムの出荷情報や在庫情報を得意先に提供したり、得意先からの注文を受け付けるWebEDIの構築などにより、お客様への新たなサービスを開始することができます。
■ IBM i のモダナイゼーションによる業務変革
IBM iの入出力画面のモダナイゼーションは、DX推進のための業務変革に非常に有効です。特に 1. ユーザーインターフェース(UI)改善、2. システム連携、3. モバイル化 をポイントとして、上述の (a)~(e)にどのように役立つのか見ていきます。
(a) 業務効率 | (b) 情報量 | (c) 即時性 | (d) 社内部門 | (e) 得意先 | |
1. UIの改善 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
2. システム連携 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
3. モバイル活用 | ○ | ○ | ○ |
また、モダナイゼーションを実現するための手段として、開発ツール「Delphi/400」を提案いたします。以下で、Delphi/400がどのように役立つかも合わせてご説明します。
1. ユーザーインターフェース(UI)改善
IBM i基幹システムをGUI化/Web化することで様々なメリットがあります。照会系画面の使い勝手は格段に向上し、更新系画面でも複雑な生産計画情報を基幹システムに直接入力するなどの成功例があります。経営者・営業などの社内部門や得意先に提供するサービスでもGUI/Webのシステムが望まれます。
Delphi/400はコンポーネントと呼ばれる部品を利用して完全に自由な画面を設計することができます。既存の5250画面をベースとはしていないため、画面レイアウトの制約は一切ありません。
2. システム連携
IT環境が複雑化する中でオープン系やクラウドなど様々なシステムの利用が進んでいます。基幹システムと他システムを連携することで、二重入力廃止による業務効率化やデータ整合性の維持、画像などオープンDBデータの取り込み、リアルタイムな情報更新、など多くのメリットがあります。また、他システム連携により社内部門、得意先への新たなサービス提供が可能となります。
SQL Server、Oracle、MySQLなどのオープン系DBとも簡単に連携できます。またSalesforce、AWS、SAP、Office 365などのクラウドサービスと連携することも可能です。さらにIoT機器と簡単に接続するためのコンポーネントも備えています。
3. モバイル活用
どこでも持ち運びできるモバイル機器をIBM i基幹システムと直結することで、いつでも最新のデータを入手することが可能になります。営業向けスマホシステムや、工場、店舗、物流倉庫向けのタブレットシステムなど、IBM iのモバイル活用による成功例が数多くあります。
マルチデバイス対応のDelphi/400により、Windows、macOS、iOS、Androidのネイティブアプリケーションの開発が可能です。カメラやGPSなど、スマートデバイスに搭載された機能もDelphi/400アプリから利用できます。
◎ Delphi/400とは
Delphi/400は、オープン開発で豊富な実績を持つDelphiをIBM i に完全対応させた、生産性に優れたネイティブアプリケーション開発ツールです。 IBM i GUI化/Web化ツールとしては最多となる約800社の導入実績があり、IBM iのモダナイゼーションにより多くの企業システムの改善に貢献してきました。
■ さいごに
本コラムでは、DXの定義、施策の検討、IBM iのモダナイゼーションとDelphi/400、等について述べて参りました。DXの推進では、どのような業務要件でも対応可能といえるほどのDelphi/400の対応力と柔軟性が強力な武器となります。
Delphi/400のオンラインセミナーも定期的に開催しています。ご興味を持たれた方はぜひご参加ください。