前回の技術Tipsでは、IBMi環境でのWASプロファイル作成方法をご紹介しました。
今回の技術TipsではWindows環境でWASプロファイルを作成する方法をご紹介します。
また、次回のTipsでは、IBM WebSphere Application Server(WAS)でポート番号の異なるWebサーバー/アプリケーションサーバー環境を複数作成する方法をご紹介します。
作成する環境について
既に、Windows環境にWebSphere Application Server8.5(WAS)が導入されており、IBM HTTP ServerとWASのプロファイルがプラグイン経由で連携ができている環境に対して、追加のプロファイルとIBM HTTP Serverのインスタンスを追加する手順となります。
手順としては以下に分割されます。
- WASプロファイル作成
- IBM HTTP Serverインスタンス作成
- プラグイン連携設定
今回のTipsでは「WASプロファイル作成」の手順をご紹介しています。
「IBM HTTP Serverインスタンス作成」、「プラグイン連携設定」については次回のTipsでまとめる予定です。
なお、IBMi環境のWebSphere Application Serverプロファイル作成手順は以下記事を確認ください。
Windows環境でのプロファイル作成
プロファイル管理ツール
Windows環境でのプロファイル作成時には、「プロファイル管理ツール」または「manageprofiles」コマンドを使用します。
Tipsは、プロファイル管理ツールを使用した作成手順となります。
プロファイル管理ツールの起動
WebSphere Application Server をインストールすると、プロファイル管理ツールも導入されています。スタートメニューからプロファイル管理ツールを起動してください。
プロファイル管理ツール作成する環境の選択
作成する環境を選択します。
アプリケーション・サーバーを選択状態で「次へ」ボタンをクリックしてください。
プロファイル作成オプション
プロファイル作成オプションの選択画面が表示されます。
「標準プロファイル作成」、「拡張プロファイル作成」が選択できます。
拡張プロファイル作成は、作成するプロファイル、ノード、ホストの名前などの設定を独自に行いたい場合やポートを詳細に設定したい場合等に利用します。
作成するプロファイル名がデフォルトのままでも問題がなければ、「標準プロファイル作成」を選択して実行できます。
Tipsでは両方の作成手順についてご紹介します。
標準プロファイル作成の場合
標準プロファイル作成の場合、アプリケーションサーバー名やノード名、ポート番号が自動的に割り振られます。個別に設定したい項目がなければ、標準プロファイル作成を選択しても問題ありません。
管理セキュリティー
管理セキュリティーでは、WAS管理コンソール(WebSphere Integrated Solutions Console)にアクセスするためのユーザー名、パスワードを指定します。
ログインのユーザー名、パスワード、確認パスワードを入力すると「次へ」ボタンが有効になりますので、「次へ」ボタンをクリックしてください。
プロファイル作成サマリー
プロファイルの作成サマリーが表示されます。
プロファイルを作成するパスや、名前の情報、ポート番号が表示されます。
確認後、「作成」ボタンをクリックしてプロファイルを作成してください。
標準プロファイルの作成手順はここまでとなります。
続いて「プロファイル作成完了」に移動してください。
拡張プロファイル作成の場合
拡張プロファイル作成はプロファイル名やノード名、ポート番号を設定したい場合などに使用します。
拡張プロファイル作成のラジオボタンを選択して「次へ」ボタンをクリックしてください。
アプリケーション・デプロイメント(オプション)
- 管理コンソールのデプロイ(推奨)
アプリケーションサーバーを管理する管理コンソールを導入します。 - デフォルト・アプリケーションのデプロイ
Snoopサーブレットなどの動作確認用アプリケーションを導入します。 - インストール検査ツール・アプリケーションのデプロイ
インストール検査ツールを導入します。
導入する機能をチェックボックスで選択して「次へ」ボタンをクリックしてください。
プロファイル名およびロケーション
プロファイル名、プロファイルを展開するディレクトリを指定します。
プロファイル名に任意の名前(半角英数字)を設定してください。
なお、設定には命名規則があるため注意してください。
命名規則
プロファイル名およびロケーションの最下部に記載があります。
設定後、「次へ」ボタンをクリックしてください。
ノード名およびホスト名
ノード名およびホスト名を設定します。
プロファイルと同様に命名規則があるため注意してください。
設定後、「次へ」ボタンをクリックしてください。
管理セキュリティ
WAS管理コンソール(WebSphere Integrated Solutions Console)にアクセスするためのユーザー名、パスワードを指定します。
設定後、「次へ」ボタンをクリックしてください。
セキュリティー証明書(パート1)
セキュリティー証明書を設定します。
既存の証明書がある場合には取り込むことが可能です。
設定後、「次へ」ボタンをクリックしてください。
セキュリティー証明書(パート2)
個人証明書の有効期限とパスワードを設定します。
デフォルト鍵ストアは、管理セキュリティーを有効に設定した場合などにWAS内部の通信や管理コンソールにアクセス時などに利用される証明書を格納する鍵ストア・ファイルとなります。
設定後、「次へ」ボタンをクリックしてください。
ポート値の割り当て
WASのプロファイルに割り当たるポート番号を設定できます。
デフォルトで設定されているため、変更しない場合はそのまま「次へ」ボタンをクリックしてください。
Windowsサービスの定義
Windowsサービスの定義を設定します。
サービスとして起動するか、サービスとして起動した場合に起動するユーザーの権限やユーザーを指定できます。設定後「次へ」ボタンをクリックしてください。
Webサーバー定義
Webサーバーのインスタンスが作成済みの場合は、Webサーバーの定義を設定することができます。
後からでも設定できるため、Webサーバーのインスタンスが設定できていない場合は未チェックのまま「次へ」ボタンをクリックしてください。
プロファイル作成サマリー
プロファイル作成サマリーが表示されます。
確認後、「作成」ボタンをクリックしてプロファイルを作成してください。
プロファイル作成完了
プロファイルの作成プロセスが実行されて、しばらく待つとプロファイル作成が完了します。
「ファースト・ステップ・コンソールの起動」にチェックを設定していると「終了」ボタンクリック後、プロファイルの検査が行えるツールが起動します。
ファースト・ステップ・コンソール
ファースト・ステップ・コンソールが起動します。
インストール検査や、アプリケーションサーバーの起動、管理コンソールや各種ヘルプ等にアクセスできます。「インストール検査」をクリックしてください。
ファースト・ステップ インストール検査
インストール検査完了後に×アイコンをクリックして出力画面を閉じてください。
プロファイル作成の完了
「プロファイル管理ツール」の一覧上に、新しいプロファイルが表示されます。
以上で、プロファイル管理ツールを利用して、プロファイル(アプリケーションサーバー)を作成する手順は終了です。
作成したプロファイルの削除
作成したプロファイルの削除は、プロファイル管理ツールから実行することはできません。
Windows環境ではコマンドプロンプトからmanageprofiles.batを実行して削除する必要があります。
cd "[WebSphere Application Serverインストールパス]\AppServer\bin"
manageprofiles -delete -profileName [プロファイル名]
例) WebSphere Application Server を \Program Files (x86)\IBM\WebSphere\AppServer\binにインストールしており、プロファイル名 AppSrv02 を削除する場合
cd "C:\Program Files (x86)\IBM\WebSphere\AppServer\bin"
manageprofiles -delete -profileName AppSrv02
コマンドでプロファイルを削除した後、プロファイルルートディレクトリを削除してください。
また、プロファイルを削除後、再度同じ名前のプロファイルを作成しようとした際にエラーとなることがあります。ディレクトリレベルではプロファイルは削除されているのですが、WASの構成ファイルに残っている場合です。
以下コマンドを実行することでWASの構成ファイルの情報を確認、更新してくれます。
manageprofiles -validateAndUpdateRegistry
おわりに
本Tipsでは、Windows版、WebSphere Application Serverのプロファイル作成方法をご紹介しました。次回のTipsでは、アプリケーションサーバーと連動するIBM HTTP Serverのインスタンスを1つの実行形式ファイルで複数のインスタンスを作成する手順をご紹介します。