Valenceはインストールした環境を複製することができます。最初にインストールされるインスタンスは更新用として利用し、開発環境、運用環境をそれぞれ別のインスタンスとして作成して運用することを推奨しています。今回のTipsではインスタンス管理アプリによるインスタンスの複製方法と複製したインスタンスの更新方法をご紹介します。
インスタンス管理とは?
[インスタンス]はWEBサーバーの単位で、複数のWEBサーバーを運用している場合にそれぞれ別のWEBサーバーを表すために使用される単語です。
Valence6をインストールするとデフォルトではポート7060でWEBサーバーのインスタンスが作成されます。インストールしたインスタンスでValenceを利用することもできますが、インストールしたインスタンスをコピーして、開発環境や運用環境の別インスタンスを作成することを推奨しています。
インストールしたデフォルトのポート7060のインスタンスをベースインスタンスとして、開発環境、運用環境を別インスタンスとして作成することで、Valenceの更新があった場合でもValence BASE環境をバージョンアップ→開発環境をバージョンアップ(動作確認後)→運用環境をバージョンアップ のように、インスタンスを別途作成している場合には、動作を確認後にバージョンアップの適用を決定することができます。
インタンス管理アプリの起動
インスタンス管理は「管理オプション」カテゴリに含まれています。
Valenceにログイン後 「インスタンス管理」をクリックしてください。
インスタンス管理で別のインスタンスを作成
インスタンス管理の画面から「インスタンスの作成」または右下の+アイコンをクリックしてください。
インスタンスの作成画面では、インスタンスの名前(ライブラリ名)、IFS上のパス 、ポート番号、インスタンスのタイプ、注記を入力します。
Valence6インストール時のIFSパスは /valence-6 のため、インスタンス名に合わせて/valence-6a 等で作成することをお勧めします。
ポート番号は、Fusion5250のポートと重複しないように調整して設定ください。
また、ポート番号はWebサーバーの設定画面で後ほど変更することもできます。
インスタンスのタイプは、「開発」「品質保証」「ライブ」の中から選択できます。開発環境を「開発」、実運用環境を「品質保証」に設定ください。
作成したインスタンスの起動と停止
インスタンスの作成が完了後、インスタンス管理アプリから作成したインスタンスの起動と停止が可能です。作成したインスタンスのポート番号でアクセスすることでアクセスできます。
もちろん、5250エミュレータで、VALENCEライブラリ(VALENCE6A)をライブラリリストに追加後VVSTARTコマンドで起動、VVSTOPコマンドで停止することもできます。
インスタンスの更新
インストーラからValenceのバージョンアップを実施後、インスタンス管理アプリから別のインスタンスのバージョンアップを行えます。
ベース環境のバージョンとインスタンスのバージョンが異なる場合のみ更新機能が有効となります。
バージョンアップを実行する場合には、対象のインスタンスで利用しているVALENCEライブラリとIFS領域をバックアップ後に更新処理を実施ください。
バックアップの取得方法
バックアップはSAVFファイルで取得します。
対象のインスタンスを停止後、オブジェクトロックがない状態であることを確認後、バックアップを取得します。
TipsではVALENCE6Aライブラリ、IFS領域 (/valence-6a)と(/www/valence6a)をバックアップする手順を例としています。
対象インスタンスの停止
5250エミュレータでIBMiにログインしてください。
※エミュレータのホストコードページは939にご設定ください。
ログイン後、ジョブのCCSIDを5035に設定します。
CHGJOB CCSID(5035)
次に、ライブラリリストにバックアップ対象のライブラリを追加します。
ADDLIBLE VALENCE6A
ライブラリリストを設定後、VVSTOPコマンドでインスタンスを停止してください。
VVSTOP
対象インスタンスの停止を確認後、ライブラリリストから追加したライブラリを除去します。
RMVLIBLE LIB(VALENCE6A)
ライブラリのオブジェクトが他のジョブにロックされていないか確認してください。
WRKOBJLCK OBJ(VALENCE6A) OBJTYPE(*LIB)
バックアップの取得
対象インスタンスのライブラリをバックアップします。
VALENCE6Aライブラリーを保存するSAVFファイルを作成してください。
バックアップするSAVFファイルはCRTLIBライブラリに作成する手順でコマンドは記載されています。
実際にバックアップを取得する際には、任意のライブラリにバックアップを取得ください。
CRTSAVF FILE(CRTLIB/VALENCE6AB) AUT(*ALL)
作成したSAVFファイルにライブラリをバックアップしてください。
例) VALENCE6Aライブラリをバックアップ
SAVLIB LIB(VALENCE6A) DEV(*SAVF) SAVF(CRTLIB/VALENCE6AB)
対象インスタンスのIFS領域をバックアップします。
IFS領域を格納するSAVFファイルを作成してください。
CRTSAVF FILE(CRTLIB/VAL6AIFS) AUT(*ALL)
作成したSAVFファイルにIFS領域を格納します。
例) /valence-6aのファイルをバックアップ
SAV DEV('/QSYS.LIB/CRTLIB.LIB/VAL6AIFS.FILE') OBJ('/valence-6a')
対象インスタンスのIFS領域(Webサーバー定義)をバックアップします。
IFS領域を格納するSAVFファイルを作成してください。
CRTSAVF FILE(CRTLIB/WWW6AIFS) AUT(*ALL)
作成したSAVFファイルに IFS領域(Webサーバー定義) を格納します。
例) /www/valence6a のバックアップ
SAV DEV('/QSYS.LIB/CRTLIB.LIB/WWW6AIFS.FILE') OBJ('/www/valence6a')
インスタンスの更新実施
バックアップを取得後にインスタンスの更新処理を実施します。
- インスタンス管理アプリから、対象インスタンスの「更新」アイコンをクリックしてください。
- 更新確認のダイアログが表示されます。「はい」をクリックしてください。
- 更新処理が実行されます。
- 一定時間後にバージョンアップが完了します。インスタンスを起動すれば完了となります。
以上で、インスタンスの更新は完了です。