*ブランド名・製品名変更のお知らせ*
 
新ブランド名 Maxava HA ( 旧:*noMAX )
 
新製品名 DATA STREAM ( 旧:セントリー )
    SMB ( 旧:ディフェンダー )
    ENTERPRISE+ ( 旧:ギャリソン )
災害対策への取り組み
 地震国である日本では、地震のみならず風水害も含めた自然災害に対するシステムの対策にやっと官民を含めて具体的な施策をとり始めました。一昨年の内閣府/経済産業省による各種ガイドラインをはじめとしてメーカーサイド、コンサルタント、ベンダー各社は各種の啓蒙セミナーを開いたり提案を行っており顧客も高い関心を寄せ始めています。大企業ではBCM/BCPの作業にかなりの経費をかけて始めており、中堅企業でも実際的なシステム対策を検討し始めた企業も多くあります。いずれにしろキーワードは「事業継続」です。

 例えば、ある会社が東京本社に基幹システムのサーバーを置き、本社、東北・北陸・名古屋・大阪・九州の各支社や生産工場がそのサーバーを使用して業務を行っていたとします。
災害は広域災害とは言っても日本全土で同時多発する事は殆どなく日本全土からみれば局所災害が一般的です。例えば首都圏に地震等の大災害が発生した場合、首都圏はライフライン・交通網等を含め被災後ある程度の期間は復旧にかかります。しかし、東北・北陸・名古屋・大阪・九州では人命にも問題なく、商流、物流、生産活動とも問題はありません。ですが上記の様に東京本社のサーバーに全て依存したシステムですと東京が被災する事によりその会社は全国的に事業がストップしてしまいます。

東京のある1社のみではなく多くの会社が同様に事業がストップしてしまいますと、日本の経済活動そのものがストップしてしまう危険性もはらんでいます。従って行政は災害時の事業継続に多大な関心を持ち、各種ガイドラインを発行して、企業の災害対策への取り組みを推進しているのです。

また企業から見ると、被災した場合に直接的な被害(システムが被災してから復旧するまでの間の損失額)に関心は高いようですが、過去の海外での事例を見ると、間接的な被害(システムの復旧遅れによる業務再開の遅延で、信用の失墜や顧客離れ等により復旧後にも以前の様に事業が継続できなくなる)の方が圧倒的に経営に対するインパクトが大きい様です。(ヘーウィツグループの調査では、一週間のシステム停止で43%の企業が事業を再開できず、29%の会社が2年以内に会社を閉鎖という報告が有ります) 

現在では、事業の運営にシステムは不可欠ですが、システムそのものを災害から守る、もしくは被災後の復旧をいち早く行う仕組みを組み入れておく必要はこれから一段と増すでしょう。

(補足)システムダウンによる影響には次の様なものがあります。
想定される直接被害

 売上                    生産
 ・停止期間の売上、利益の損失        ・生産ライン停止による
 ・請求書紛失による損失              生産量の減少
 ・損害賠償金                   在庫負担増/出荷停止
 ・情報資産の喪失              ・仕掛品増による鮮度低下
 ・営業継続費用                  管理費の負担像
                       ・サプライチェーン全体の停止による
                        取引先の業務停止の補償

 物流                    業務に関して
 ・物流停滞による損失            ・生産性
 ・物流システムの再構築              業務効率低下コスト?
                          システム復旧コスト?

 その他一時費用
   一時的に必要な雇用              追加配送費用
   レンタル設備・機器              追加交通費
   残業費用                   法的な債務
   停止期間中の全取引記録の手作業での入力費用

想定される間接被害
 財務面に関して
 ・キャッシュフローの悪化、資金繰りの悪化  ・信用格付けの低下
 ・売上/利益等の未確定/未承認        ・株価の下落
 ・割引債務の紛失による損失         ・風評被害
 ・支払保証                 ・謝罪広告費  ・各種補償・補填

 信用の失墜/下落
 ・お客様から     ・金融市場から      ・ビジネスパートナーから
 ・取引先から     ・銀行、保険会社から   ・メディア/アナリストから
システムの災害対策
システムの災害対策には各種のアプローチがあります。

 ① 本番機の設置場所の考慮
    本番機を安全と思われる(被災する可能性の小さい)地域に移転する、もしくは
    免震等設備を施したビルに設置する、または本番機をデータセンターに預ける。

 ② テープバックアップの実施
    テープバックアップを取り、災害時には借用マシン(事前契約)で業務を再開
    させる、もしくは本番機復旧後そのテープデータで稼動を再開する。

 ③ 本番機とバックアップ機間で複製を行う
   遠距離の地域に設置したバックアップ機にリアルタイムで本番データの複製を行い、
   災害時にはバックアップ機で業務を稼動させる。(自社機の場合もデータセンター
   の場合も有る)

その他色々な方法は考えられますが、大きく分けると上記の3種類の方法と思われます。企業により業務の優先順位と予算の問題もあるので、その企業に適した方法を採用するべきですが、「事業継続」を念頭に置いた施策を取る必要があります。被災した場合、いち早く事業再開を実現できるのは上記③です。

なお、被災後の早い段階で業務を再開させる場合に目標とすべき数値があります。
それは、
 a)目標復旧時間(RTO)
       「どのくらいの時間で業務を復旧させるか」の目標時間 と

 b)目標復旧ポイント(RPO)
       「災害前のいつの時点までデータを戻すか」の目標リカバリー点 です。


 RTOはなるべく早い時点での再開、RPOはなるべく被災直前というのが望ましいのですが、それに比例して事前の準備やコストも増大します。

 上記③は、ツールを使用して本番機のデータやプログラム等をバックアップ機に複製(リプリケーション)を取る方法であり、本番機でのデータ変更を即時にバックアップ機に反映させる仕組みなので、被災時に最も早く業務を再開できます。また、直前までのデータを確保できる方法です。
このツールはIBM i の災害対策用のツールとして数社から出ていますが、それぞれ機能上の異なった特性を持っています。ユーザーから見るとどのツールを選択するのが良いのか、もしくはそのために何を基準にするのが良いのかわからない事が多いと思いますので、次回以降で、英国のIBM i に特化した雑誌であるiSeriesNEWSの記事(2006年6月) 及びIBM Redbookでのリモートジャーナル機能の説明を掲載しますのでご検討の際のご参考にしていただきたく存じます。

なお、IBM i 災害対策に関してのお問い合わせは、弊社までご連絡下さい。