IBM i はマシンそのものが仮想化されています。IBM i/OSと呼ばれるオペレーティング・システムやアプリケーション・プログラムがマシンと見なしているのは、TIMI(Technology Independent Machine Interface)と呼ばれる仮想マシンです。ハードウェアを前提に、SLIC(System License Internal Code)と呼ばれるマイクロコード相当の機能がTIMIを作り出し、その上でオペレーティング・システムが稼働する、という仕組みになっています。そしてTIMIのメリットは、アプリケーション資産の継承と、マシンとしての柔軟な拡張性の実現にあります。TIMIを境にして上部がソフトウェア層、下部がハードウェア層であり、実行スピードは勿論ハードウェア層での方が格段に高速です。
(2) リモ−トジャーナルを使用しない場合
上記二つの図で比較をご覧いただくと一目瞭然ですが、この転送スピードの違いがHAツールでは最大のポイントです。スピードの遅さは致命的な「遅延」を発生させます。遅延とは、本番機のDBが変更されているにも拘わらず、その変更情報がバックアップ機に到達していない状況を指しています。この未送信のジャーナルレコードは、転送の順番が来るまで本番機の中に留まります。そしてその間に運悪く本番機が被災してしまった場合、その変更情報はバックアップ機に反映されることなく喪失してしまいます。